株式会社DGCテクノロジー

case 05

消費者との信頼関係で進めてきた有機農業を裏付ける、高い土壌微生物多様性・活性値

福井県 中川 清 様

インタビュー当時 2011年

福井県でも有数の有機農業実践農家中川清さん。水田で有機栽培を約20年続け、タニシやカエルの棲む水田を長年かけて作り上げ、安全安心のお米を消費者に直売してきました。その圃場の土壌の土壌微生物多様性・活性値は、210万を超え、偏差値88.1と驚異の数字を示しました。
中川さんから、有機農業に対するお考えや土壌微生物多様性・活性値の分析について伺いました。

Q. 土壌微生物多様性・活性値の結果は全国稲作農家のトップ5に入る好結果です。
この結果はどのように感じておられますか?

そんなに高い結果が出るとは思わなかったので、大変驚いています。
今まで、自分ではそれなりのことをやってきたと自負していますので、人並みの数字は出るとは予想していました。今までやってきたことが数値で実証され、喜んでいます。

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中川清さんの水稲圃場の土壌微生物多様性・活性値を分析したプレート。2,163,260という非常に高い値です

Q. 具体的にどのようなことをされてきましたか?

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田んぼにタニシが棲息しているのは、「安全安心」の証

有機JASの認証を受けたのは、2000年ですが、有機農業自体は約20年間やっております。現在、経営全般は後継者に任せ、実際の農作業などは二人で分担しています。
この20年間、とくに冬季の管理にかなり気を使ってきました。私の圃場は、冬場の用水が不便な平地にあり、規模は2haです。周囲の農家の理解を得て、ここ1~2年間、冬にも水を供給していただき、冬水田んぼを実践しています。それまでは、冬季に何回か田おこしをして、表層にぼかし肥料をかぶせて、冬越しをしていました。
ぼかし肥料は、自分で作ってきました。基本的な考え方は、外部から、牛糞などを持ち込むのではなく、自分の圃場から出る副産物を田んぼに返すというものです。もみ殻、わら、米ぬか、さらに大豆粕などをぼかし肥料の原料にしています。

Q. 有機農業を進めてこられた、お考えについてお聞かせください。

消費者との信頼関係を最も大切にしています。消費者に支持されないと、有機農業を続けることはできません。
生産した米は、50~60人の消費者に直売し、それ以外は地元の直売所で販売しており、市場には出していません。近くにお住まいの消費者10~15人には私が直接届け、その際、消費者と直接お話をして、交流を深めています。東京、神戸、京都など遠方の消費者には宅配でお送りしています。また、仲間と直売所を経営しており、そこでも販売しており、直売所に来られる消費者とも交流を心がけています。
米は1kg550円で販売していますが、コストを考えると本当はもっと高く売りたいところです。補助金もいただいていますので、その半分は消費者にお返しするとの考えで、販売価格を抑えています。
私の圃場では除草剤を使っていませんので、タニシが棲息しています。米に斑点があることもありますが、消費者の皆さんには、タニシや米の斑点などは、安全の証だと話しております。

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研修会で生き物にやさしい田んぼの説明を行っている中川さん
(中央オレンジのシャツ)

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Q. 土壌微生物多様性・活性値にはどのようなことを期待されますか?

土壌微生物多様性・活性値の分析をしていただいた際、分析していただいたDGCテクノロジーから、soilマークのシールをいただきましたので、お米にそのシールを貼って、消費者に届けています。消費者のなかには、そのシールに関心を持たれ、質問される方がいます。その際は、DGCテクノロジーのホームページをお知らせしています。また、私の圃場の高い値を知った消費者からは、私がやってきた有機農業を再評価してくださっています。今後は、この分析法が点や線から面に広がって欲しいと思っています。農協のなかには、食味値などにハードルを設定し、それ以上の値が出た生産物を高い価格で買い取ってくれる農協が出てきています。土壌微生物多様性・活性値がその指標の一つになって欲しいと期待しています。

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2009年から始めた ふゆみず田んぼ

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中川清さん 優しそうな笑顔が印象的です

インタビュー一覧

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