株式会社DGCテクノロジー

case 10

生き物と一緒にお米を育む

福井県 越前しらやま活性化協議会 稲葉 洋 様

インタビュー当時 2015年

福井県越前市の白山地区は、稲作中心の農業地域です。里山のなかにあり、日本の農村の原風景と言える場所です。そこに、周辺生態系に配慮する「コウノトリを呼び戻す農法」を始め、環境に優しい農法を実践している「しやらま活性化協議会」があります。
この会の中心メンバー6戸の田んぼの土壌微生物多様性・活性値分析値を実施したところ、全員がほぼ100万をこえる値となり、最も高い方は約140万という、生物的に大変良い結果でした。また、お米の食味も大変よく、2014年のコンテストでは「特A」となっています。
生き物と一緒にお米を育んでいる、 この会の米プロジェクトのリーダー稲葉洋氏にお話をうかがいました。

Q. 分析結果についてどのようにお感じですか?

今まで微生物がたくさんいる田んぼは、自然に近いとは思っていました。ただ、これまではそれを知る科学的な方法がありませんでした。
今回の土壌微生物多様性・活性値分析の結果を見て、今までやってきたことが間違いでないことが分かりました。ただし、今後どうすればもっと高い値になるのか?また、この分析結果が有利販売に繋がっていくのか?などを検討していきたいと思っています。
おそらく分析結果は食味値とも関係していると思うのですが、消費者にどのように知らせたらいいか、などの方法も考えていきたいです。

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しやらま活性化協議会さんの水田土壌を分析したプレート。土壌微生物多様性・活性値は1,397,063で、多様な微生物が元気にいることが分かります

Q. 今までどのようなことを実践してこられましたか?

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美しい里山の風景

越前市の方針を受け、2004年以降、化学肥料を使わず、農薬も半減させるなどの福井県認証特別栽培に取り組んでいます。
そして、2007年、最初は有志4人で、かつてこの地域に棲息していたコウノトリを呼び戻そうと「コウノトリを呼び戻す農法」を始めました。具体的には、除草剤も使わない、無農薬・無化学肥料の農法です。それを実践する農家が徐々に増え、2009年9人に増え、現在は24人になっています。
しかし、まだ、白山地区全体としては取り組んでいません。この農法を実践する生産者を増やすことが課題です。

Q. 今後、どのように取り組んでいきたいですか?

土壌微生物多様性・活性値分析をツールとして活用し、「気持ちのある」生産者を増やしていきたいです。つまり、生き物豊かな田んぼを子孫に残して行ける農法を実践する生産者を一人でも多く増やしたいと考えています。祖父母の時代は、家畜を飼って無農薬、無化学肥料は当たり前でしたので・・・。
国内の米産地がTPPなどで海外の米と競争する時代が来ている、と感じています。しかし、私たちが目指す稲作は低コスト稲作でなく、手をかけて高品質な米を生産する稲作です。現在の農法を実践することによって、地域を守り、自然豊かな里山を子孫に残していきたいと考えています。

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子供たちと一緒に収穫体験

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田植えの様子

インタビュー一覧

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